行方 尚史さん、「なめかた ひさし」と読みます。
1973年生まれ。青森県出身。
師匠はあの大山康晴十五世名人。
品行方正なプロ棋士が多い中、昭和の薫りを強く残している無頼派なタイプ。
お酒がとても好きで、名著「対局日誌」でもその様子が書かれています。
先崎学さんと同郷のためか大変仲がよく、一緒にお酒を飲む機会もあるようです。
棋士としての成績
1986年 6級で奨励会入会
1993年四段になり、プロ棋士となりました。
この時、マスコミのインタビューで
「羽生さんに勝っていい女を抱きたい。」
と発言し、話題となりました。
でも、本当はマスコミにあおられて言った、
という本人コメントがあります。
2018年現在、順位は、
順位戦 B1
竜王戦 3組
A級には通算6期在籍しました。
竜王戦最高は1組までいきました。
勝率は波があり、4割台のときもあれば、7割台のときもあります。
2018年の今年は6割台の数字をあげています。
タイトル戦には過去2回挑戦者として出場した実績があります。
相手はいずれも羽生善治さん。
棋界最強者の前に敗退を余儀なくされ、
残念ながらタイトル獲得までには至りませんでした。
棋戦優勝は2回あり、
1995年早指し新鋭戦
2007年 朝日杯将棋オープン戦
NHK杯戦、対橋本崇載戦で二歩が全国放送に流れる、不戦勝
2015年第64回NHK杯戦の準決勝で橋本崇載と対戦しました。
橋本さんはユニークな言動で世間を騒がせることも多く人気も高いのですが、
根は真面目で実力派の棋士です。この対局で、中盤に橋本さんが二歩してしまいました。
すぐに両対局者が気がついたのですが、時すでに遅し。プロの将棋に待ったはありません。
2歩は即負けになります。
終局直後、面白かったのが、2歩で負けた橋本さんより、
勝ったはずの行方さんのほうが、頭を抱え、うつむき、悔やんでいるような様子でした。
どちらが反則をしたかわからないような状態で
非常に興味深い映像でした。
中川大輔さんとの死闘、対局時間最長記録23時間
2004年順位戦B1組の中川大輔さんとの対局で、
23時間15分という記録を持っています。結果は行方さんの勝ち。
順位戦は持ち時間が6時間と長いのですが、
朝10時位に開始して深夜終了というのが珍しくありません。
また、着手を一分以内に指せば持ち時間にカウントされないため、
持ち時間がなくても永遠にさし続けることができます。
1局目は、午前1時35分持将棋になりました。
持将棋というのは相手の陣地にはいり、お互い詰む見込みのない状態を意味します。
この場合は差し直しになります。
次に2局目、午前4時58分千日手となりました。
千日手とは、同じさしてを繰り返す状態になったことで、これも、指し直しになります。
そして3局目やっと勝負がつき、終局は午前9時15分、
対局開始から23時間15分。
中川さんは最初スーツの上着を着ていましたが、
2局めはワイシャツ姿になり、3局めには、上半身下着姿になっていました。
おそらく興奮していたのでしょう、朝方2人で築地に行きビールを飲んだそうですが、
その後どういう行動をしたか覚えていないそうです。
まとめ
「行方さんは、体さえ大丈夫なら将棋はしっかりしていて楽しみな棋士」
と羽生善治さんがかつてインタビューに答えていました。
現在は、上位には位置しているようですが、トップ棋士とは言えず、
本人も現状には決して満足していないでしょう。
一時期の勢いのある将棋を再び見せていただきたく、期待しています。
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